夜のダートは・・・・ 圧倒的な針葉樹の匂いをベースに 白樺やミズナラが発する甘い森の匂いと そこら中に咲いている名前の知れない花達の 濃厚な蜜の香りと、今時分はわずかにハッカの香り それが夕立の湿り気と日が暮れて道の両側から 吐息のように吐き出される昼間の熱気に 練り込まれて、首筋から背中にかけて 粘っこくまとわりついてくるのだ。 夜のダートは、いつもは何かしら後ろの状況を知らせてくれるバックミラーも真っ黒で・・・何も映りようがないからこそ真っ黒なそれに、突然何かが映ったりしたら「こまるから」、たいてい民家や外灯があるところに出るまで、あさっての方向に向けておくのだ。 |