今日のちしきの金曜日

「そういえば、あかぎんさんにお見せしますと言ったきりそのままだった」と思い出したのが先月。掲示板でその話をしたのは確か去年(薄情者

そんなわけでごそごそと物置から引っ張り出してきて撮影しました「蓄音機」



なんだかタイトルが某所みたいだけど気にせず進みましょう♪
とりいだしましたるは、こ汚い、よく見るとあせたブルーの箱。把手のところにある穴はカギ穴じゃありません。
角に何やらついているから・・・
パコッと開けるとコンパスの針がいっぱい。一本手渡されて「これなんだ?」と聞かれたら10人が10人「コンパスの針」と答えるでしょう。
外見が地味なのに、開けるとパァッと急に華やかになる。蓄音機が初めてこの家に来た時、祖父も祖母もこの気分を味わったに違いない。

俺はというとその次の瞬間「オークションで大儲けできるかも知れない!」と考えてんだから、その性根の卑しさは本当に救いようが無い。

その時はこの「パァッ」に騙されたね。後で調べてがっくり来ましたわ。このタイプは庶民に広く普及したもので玉数も多く・・・

オークションで開始価格を3000円にするともう売れない。と言えば、どの程度かお分かりでしょ?そんなもん。

そんな普及タイプのくせにシリアルナンバーを持っている。



生意気だ。

さっきの穴はぜんまいを巻くハンドルの穴。そうです。電気部品一切無し。

電気を水や空気と同列に考えがちな現代人から見ると、電気を使わずに機械から音声が出ると言うのはなかなか不思議。

右の根元部分で左右に動き、○でかこった部分を中心に頭(サウンドボックス)が上下に動く。

動かすのはもちろん人力。

さきほどの「コンパスの針」の正体はこちら。

小さな小さなダイヤモンドの針をそーっとレコードに乗っけていた世代としては、この武骨さは信じがたいです。マウスくらいの重さがこの針に乗っかっているんですが削りカス・・・出てこないね?これでどうしてレコードが消えてなくならないのか・・・
それでは、どの様にして蓄音機から音声が出るのか、解き明かしていきましょう♪



針先の振動は針ホルダーの固定部を支点に増幅され「サウンドボックス」内にある金属の膜(アルミ?)へ伝達されます。でも、ここから出る音はたいして大きくない。
サウンドボックスとアームは、それぞれが間に挟まっているゴム(オレンジ色の部分)に固定される事によって、互いの振動をキャンセル。
ここで箱と本体をばらす。



アームは徐々に太くなるパイプで作られていて、サウンドボックスで発生した音は、アームを通って、箱の中へ導かれる。
本体裏側は、アームからやって来た音をさらに増幅するための「ラッパ」があって・・・・
ラッパから出てきた音は、箱内部の反射板に当り・・・・
えー再び組み立ててますが・・・



内部で反射した音は、この本体と箱のすき間から出てくるであります。



そうして、上から4枚目の画像をごらんになるとわかるように、箱の蓋裏側にかけられているレコード盤、これもレコード盤の重量で(けっこう重い!)蓋の共振を防止し音声を前方に飛ばすという役割を受け持って・・・・いる・・?・・と思う。

メカフェチ、赤錆フェチとしてはさらに先へ進みたい♪

ごろんと外された駆動部。
拍子抜けするほど簡単な構造の中で、えらく目を引くのがこのへん。
SLOW-FASTの間は無段階調整(画像右)。このレバーを動かすと上の画像の矢印に示された部分(フェルトが張ってある)が左右に動き、その左にある「円板」との距離が変動。

金色(真鍮)の卵みたいな物、これはウェイト。ウェイトは板ばねで固定されていて、回転すると遠心力で軸から離れようとする。

して、板ばねの左側は先程の「円板」に固定されている。

だから、まとめると・・・

回転が始まると、ウェイトが広がろうとし、板ばねの曲がりがきつくなる(縮む)。すると「円板」が右に引っ張られてフェルトと接触する。その接触の度合いでスピードを調整しようとしたわけだ。


では動画を見て見ましょう。(175KB)「円板」「ウェイト」の動きに注目

もし、これを発明した人とお話が出来るなら、このスピード調整部分が産み出されるまでの思考の過程、それをとても聞きたいです。


さらにばらし。

左がメカ部、右は、ぜんまい部

以前ばらして洗浄、グリスアップしたのでとてもきれい。
難儀したのはこの「ビス」

ビスというビスが全て「マイナス」しかも何度か手入れしたようでビス頭の溝が傷んでる。

ビスの撮影台になっているのが「ぜんまい室」

ぱかっと開けると中は当然ぜんまい。ぐるぐるぐるぐるぐるぐるってことで。

蓄音機の中の旅はこれでおしまい。

もっと大きい画像を見たいという方は、こちらをよろしく♪ひっそりとアップしました「赤錆フェチ」番号を逆に辿ると何枚かが蓄音機です。

蓄音機と来ればレコードを抜きには出来ませんな。

テイチクレコード!おぢさんが子供の頃にはすでに無かったんじゃないか?バリバリ現存。俺が買わなかっただけだった。「てえ越を線死」って?なんだそりゃ?歌手も「朗五泉今」ろうごせんこん?昔の人の名前ってのはよくわかりません。

・・・・って
んなわきゃあるかい。右から読むんだね。

コロンビア、ポリドール♪
ビクターはこの頃からすでにこのトレードマーク♪

ラベルの配色がチョコレートを想像させるんで深夜にこのレポートを編集してると腹が減る。

どれもこれも俺が知っているレコードと違って、ずっしりと重い。厚みは1.5ミリくらい。欠けた部分を見ると繊維を芯に積層されている。画像?忘れた。

そのかわりといっちゃ何ですが、左の画像をクリックすると「愛国行進曲」を奏でる1MBの動画。音声が出るので注意。サウンドボックスの中の金属膜が破れているので音は悪いです。


またわからんもんが出てきた。
「唄守子の涙男」
唄守子なんぞ知らねって。涙男ってなんだよ?昔の電車男か?と思いきや(苦しいなぁ・・)、時代が新しくなって今度は左読み。イラストの男は故・三橋美智也の若かりし頃。

知らん?そうか、うん。べつに知らなくても良い。俺もよく知らん。

ちょと気になるのがこの「英語教育セット」

英会話カセットとかさー、きっと今も英会話CDとか売っているんだろうけど、いつの時代もこの手のものはおおよそ「途中で飽きられる」運命にあるようで、こいつらも新品同様!

「文句カード」だとさ。
( ´,_ゝ`)プッ



むー、ひょっとして蓄音機よりこいつらの方が高く売れるかも知れないなー。誰か買います?(また卑しい事を・・・・)
おしまい。