今日の雨竜沼



夏が終わりだした湿原に行ってきた。


雨竜沼湿原への登山道入り口にある南暑寒別荘キャンプ場。キャンプが苦手な向きには山小屋もあり。
本当はエゾカンゾウのピークを狙って湿原へ行きたかったのだけど、6月から急に忙しくなってきたのでかなわず、大きく時期がずれたこの日、ハイシーズンはとっくに過ぎているのでがらっがら。

テントを出たのが夜中1:00くらいか。
「そういえば先日、暑寒別岳辺りでなくなった人がいるんだよな」とかいらん事を考えつつ、見上げればまぶしい天の川、目を下ろせば真っ暗な登山道を一人、黙々と歩く。
途中、「白竜の滝」あたりで携帯が3本線だったので戯れににメールなどしつつ、さらに30分・・・・

ところで話は士別出発直後に戻るが
「あーヘッドランプ忘れた・・・・あーでもマグライトがあるからいいか。手がふさがるのがちょっとあれだけど。念のため電池だけは交換していこう。途中で電池切れしたらたいへんだしな」

・・・・・トラブルってのはなぜクリティカルヒットをするのだろうな??

暗闇をマグライトで照らしつつどんどん標高を上げていくと、雨竜町の明りが見えるとこに出る。「しょぼい灯だなー」と思いつつ登山道を振り返るとフッとマグライトが消えたのでつよ・・・・

電池は新品。スイッチをぐりぐり回してもダメ。てことは・・・

よもや電球が切れた??

「山でトラブったらとにかく下山」と、下を見るも、ど真っ暗。
上を見上げても登山道は煤のように艶消しの真っ暗闇、見えるのは星のまたたきのみ。

10秒は硬直したかな?
パソコンじゃないが10秒後のコールドスタートで何かが改善するかも知れないと無駄な期待を抱きつつ、マグライトのスイッチを回すも点灯ぜず。電球のジャックを抜き差ししても点灯せず。「点灯しない」ことの確認終了(笑
「うわわーー!どうしよう!?」
というパニック感が跳ね上がるのを左足で踏みつけ、「だーらてめーがいつも冗談で「神の声」とか「お釈迦様がゆった」とか名付けている「予感」には面倒くさがらずに従えってゆってっだろーが、何回同じ目にあったら身に付くんだこのタコッッ!!!!」とかいう無駄な怒りで消耗しそうになるのを右足で踏みにじり、まず、携帯を開いてみる。


しかし最近乗り換えた俺の携帯、auW56Tは常時黒バックなのでさして明るくならない。以前持っていた携帯のつもりでいるとがっくりする。がっくりくるが、だからといってここで夜が開けるまで突立っているわけにはいかん!
次にポケットからライターを出して着火・・・・だめだ、ライターの青い火じゃ暗くて見えないよ・・・orz

もう無いか??・・・・そういえば、あーなんだっけ?なんか照明のマークのようなものが携帯のサイドに付いていたな・・・・マナーボタンを押してブブブっと震えるのに驚き、落としそうになったりしながらもようやく見つけ出す。

近頃のLEDはすげーなー(感嘆
ホンの2ミリ角くらいの大きさなのにピッカー!と登山道が再び明るくなったのだ。やれやれと安堵のため息をひとつついて、歩き出す。30秒で消えるのでそのつどしばらく待ってから点灯し、また30秒進むの繰り返しにはうんざりきたけど、とにもかくにも進めるのでよしとしよう。

到着したのは2時半頃。湿原にだけ霧が漂い、こんなふうに闇に浮かび上がる木道を、ただただ歩いてゆく。照明が無くても木道が見えるのは、霧を通して届く星明かり(!!)のおかげ。
これ↑は実は昼間撮影したものを加工。
その場で実際に撮影したほうが、こんな画像を作るために浪費するくだらない時間を節約できるのだけど、やらない理由というのは・・・展望台までの時間を考えると、ここで三脚をザックから外してカメラを出して構えて、撮影したらまた逆手順で片付けるという行為が致命的なロスになりそうだったのと、万が一変なものが写っていたら嫌だったし。(気が弱い)
デジカメってすぐ確認できるのがいろいろとあれだよな。

奥に見える谷間から入ってきて、撮影している場所まで約1時間。
この1時間がとても寒くて辛かった。衣類は日中の暑さを考慮して冷えるレイヤーのみ。よほど寒くてもカッパを着込めばなんとかなるだろうと踏んでいたけど、ほんとうにぎりぎりで、こういう時に薄手のフリースを持っているかどうかで天国と地獄に別れることを身にしみて理解したよ。

これを次回に生かすためには・・・もっと沢山入るカメラザックが欲しいです。

日がさすと世界が一変する。

霧に覆われた雨竜沼湿原の朝は一度自分の目で見たかったのだ。

このあたりで薄々わかってきたのが、湿原全体をうっすらといい案配に霧が残っている状態を撮ろうとすると、朝露たっぷりの植物や昆虫を撮るのは諦めなきゃならんって事で、実際降りた時には太陽の熱であらかた露が蒸発しかかっていたから、中途半端なものしか撮影できずじまい。

てことは満足できるものが撮りたかったら何度も通うことになるなー。ここはそう何度もいける場所ではないんだけどなー。
上の画像で湿原に白く点在するのは全部蜘蛛の巣。まるで何かを受信しようとしているように見える。




すっかり霧がなくなり、気温がどんどん上がってくる。

他のハイカーが上がってきたのは8時くらい。
この頃になると日が高くなりすぎて、朝の湿原を撮るのはもうおしまい。てことで下山します。